薬務係では、薬剤部における理念「有効で安全性の高い薬物療法の提供に貢献するため、良質な薬剤業務サービスを実施する。」に基づき、医薬品の適正使用と適正管理が実施されるよう努めています。また、従来からの部内・部外に対する庶務的業務に加え、各方面からの要望・要求も増加しており、適切で迅速な対応に努めています。特に、各システムの電子化に伴い、電算部門において継続的改善・各種機能開発を行っております。
なお、平成22年度より、薬学部6年制に伴う長期実務実習生の受け入れに伴い、各大学とも連携し教育・研究に取り組んでいます。
『医薬品の適正使用および適正管理が実施されるよう継続的に業務の改善を行う』
調剤部門の所属薬剤師は40名と薬剤部でも最大の部署であり、外来調剤、入院調剤、注射薬調剤、麻薬調剤、抗がん剤などの注射薬調製、薬剤管理指導業務兼務、薬剤師や薬学生の教育など、多岐に渡る業務を行っています。各業務は薬剤部内のみならず、診療科(病棟)、外来化学療法室、手術部、NICU、ICUといったさまざまな医療現場でスタッフと連携を図り、より安心で安全な医療の提供に貢献しています。
『すべての患者さんや医療スタッフに対し良質な薬剤業務サービスの提供を行う。薬剤業務サービスの効率化を図り、継続的に業務の改善を行う。』
各病棟の担当薬剤師が、入院患者さんを対象に幅広い業務を行っています。九州大学病院の特徴として各階に配置された薬剤管理指導室を拠点に、薬剤師が病棟に常駐する体制をとっています。この環境は、患者さんや病棟スタッフと密に関わっていくうえで長所の一つと言えます。また、一般病棟だけでなくICU(集中治療室)やNICU(小児集中治療室)、手術部などにも薬剤師を配置し、様々な医療の中でそれぞれの専門性を発揮しています。
『入院患者さんに対する薬学的ケアを実践し、有効で安全性の高い薬物療法に貢献する。』
これらに加えて、病棟での回診、様々なカンファレンスに参加しています。また、薬剤部内でも症例検討会を行い、それぞれの知識と経験をもとに、有効で安全性の高い薬物療法に貢献できるよう取り組んでいます。
現在、多くの医薬品が市販されているにもかかわらず、医療現場からの院内製剤へのニーズは多様化しています。そのため院内製剤を調製するに当たっては、知識・情報・技術を駆使し、品質の向上および保証に努める必要があります。無菌製剤・製剤業務において定期的な環境チェック(微粒子測定・クリーンベンチの付着菌確認試験など)を行い、市販の医薬品と同様な品質に近づけるよう適切な管理下で調製を行っております。
『製剤調製品目の安全で安定な供給を行う』
最近の特殊製剤の事例
当部門では、血中濃度モニタリング(TDM)を中心に業務を行っており、個別化投与法を研究し、且つそれを普及させることによって薬物治療の有効性および安全性の向上を目指しています。また医薬品の適正使用のための基礎的・臨床的研究を行っております。
『薬物血中濃度モニタリングおよび研究を通して医薬品の適正使用を推進する』
当部門は、九州大学病院薬剤部DI業務の伝統および重任を深慮し、業務に取り組んでいます。今日の日本におけるDI業務の基盤は、堀岡正義・元薬剤部教授によるご尽力が極めて大きく、1965年日本薬学会シンポジウムを発端とし、1971年にDI業務基準が制定され、DI業務が全国的に定着いたしました。情報技術の急速な進歩により、環境や設備面が変化しつつも、今から約50年前にDon E. Franckeが述べた ”In the field of drug information, tens of pharmacists could serve the needs of thousands of physicians serving millions of patients.” 現在でも全く色あせることがありません。
『適正かつ最新の医薬品情報を提供し、有効に活用されるよう図る』
医療の高度化や研究の多様化に伴い、医薬品等を規制する法律や治験や臨床研究に関する実施上のルール、ガイドラインも改正されてきました。当院薬剤部とその関わりは1992年の治験薬の調剤係での一元管理に端を発しておりますが、時代の流れとともに当院の臨床研究の実施体制が強化され、今では医師主導治験やトランスレーショナルリサーチ(TR)の推進まで拡大しています。さらに、現在ではアカデミア発のシーズの探索から出口戦略・最速医療開発までの一元サポート実現に向けた体制作りを行っております。
『次世代に繋がる新しい医療技術・医薬の開発を支援・推進し、社会に貢献します』