九州大学病院 薬剤部

NEWS & TOPICS

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2025年08月04日
7月の症例検討会を行いました
2025年7月、薬剤部の病棟薬剤師を中心とした症例検討会にて、ショートレクチャー「2型糖尿病と医療DX」を実施しました。
本レクチャーでは、医療連携センター所属の糖尿病看護認定看護師・梶野 美保 先生を講師に迎え、糖尿病内科病棟担当の伊藤 成美 薬剤師、日本糖尿病療養指導士(CDEJ)および地域糖尿病療養指導士(LCDE)の資格を有する南 晴奈 薬剤主任を中心に準備を進めました。

近年導入件数が増加している持続血糖測定器(CGM)である「FreeStyleリブレ2」や「Dexcom G7」、スマートインスリンペンである「ノボペンエコープラス」、さらに注目されている非医療機器「Mallya(マリヤ)」といったデジタルヘルス機器を題材に、糖尿病ケアにおける医療DXの最新動向について講義が行われました。

Mallyaは国内未承認の非医療機器でありながら、Bluetooth通信による注射記録の自動送信により、インスリン自己注射の管理を支援する機能を有しています。現在のところ薬剤師が直接関与する機会は限られているものの、今後はこうしたデバイスに関する知識を身につけることで、インスリン使用患者の服薬アドヒアランス向上や薬物治療効果の最適化に薬剤師として積極的に関与していきたいと考えています。

また、リブレ2とDexcom G7の機能比較、対象患者の違いやデバイスごとの留意点についても整理され、実臨床での活用イメージを明確にすることができました。さらに梶野先生からは、病棟での活用実例や患者指導の工夫、導入における課題などが紹介され、看護師と薬剤師が協働して糖尿病患者支援を行う重要性が改めて認識されました。

近年、糖尿病治療では血糖変動の可視化、服薬アドヒアランス向上を目的としたICTツールの導入が加速しており、これらの機器を理解し臨床で適切に活かすことは薬剤師にとって不可欠です。今回のレクチャーを通じて、医療DXに関する知識を深め、薬剤師の新たな役割について考える有意義な機会となりました。

参加者の声:

1年目 調剤室配属薬剤師
病棟経験がない自分にとって、実臨床の経験が豊富な先輩薬剤師、看護師の先生から具体的に患者指導や治療選択の留意点などを知ることができとても勉強になりました。
スマートデバイスについて自身の知識がもともと少なく、多くのデバイスの特徴について比較してくださり、よく理解できました。薬剤師としてそれらを適切に用いることが必要であると感じ、今回の経験を患者指導に活かしていきたいです。

5年目 病棟薬剤師
糖尿病治療は医療DXを活用することができる場面が非常に多いことや、患者の生活スタイルに合わせたデバイスの選択等、症例も交えてご紹介いただきました。今後よりよい医療を提供するために、薬剤師と医療DX、そして患者さんとの関わり方を考える大変よい機会になりました。
またFreeStyleリブレ2の装着体験を通じて、実際にデバイスを使用する際の疑問や使用感を直に感じ、医療者側もデバイスを使いこなすことが重要なことを体感することができる非常に有意義な時間になりました。

11年目 病棟薬剤師
普段の業務で医療DXを使用されている患者さんと接する機会はありますが、
実際にデバイスに触れたことはなく、知識もほとんどありませんでした。
今回のショートレクチャーでは、各デバイスの紹介に加え、各々の特徴や使用時の注意点、最新の動向についても学ぶ事が出来ました。
また、実際にデバイスに触れることで、使い方だけではなく、使用感や使用時の問題点についても知識を深めることが出来、実臨床に直結するような体験をしました。
今回、このような貴重な会を開いて頂いたこと、非常に感謝しております。
学んだ事を、今後の患者指導や日常業務にしっかりと役立てていきたいと思います。

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