九州大学病院 薬剤部

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2026年03月11日
論文発表報告:Clinical Nutrition誌 (松金 良祐 薬剤師)

松金 良祐薬剤師、南 晴奈薬剤師と肝臓・膵臓・胆道内科の藤森 尚講師、植田 圭二郎助教、そして栄養管理部との共同研究の成果がClinical Nutrition誌にアクセプトされました。
 
タイトル:Prospective study of anamorelin in pancreatic cancer cachexia: Clinical and translational insights into response heterogeneity

本研究は、進行膵癌に伴うがん悪液質に対するグレリン受容体作動薬アナモレリンの有効性および安全性を前向きに検討した、膵癌を対象とする初めての臨床研究です。九州大学病院において実臨床下で実施された単施設前向き観察研究として、除脂肪体重(lean body mass: LBM)の経時的変化を主要評価項目とし、治療反応性の個人差に着目したトランスレーショナル解析を行いました。

その結果、アナモレリン投与によりLBMおよび食欲関連QOLスコアは有意に改善し、約6割の症例でLBMの維持または増加が認められました。特に、治療前BMIが低い症例ほど治療反応性が高いことを明らかにし、BMI 20.4 kg/m²未満が有効性予測因子となる可能性を示しました。一方で、高血糖は比較的高頻度に認められ、特に内因性インスリン分泌能が低下している症例においてGrade 2以上の高血糖リスクが高いことを見出しました。治療前のBMIおよびインスリン分泌能評価が、個別化治療戦略の構築に重要であることを示唆する成果です。
 


該当論文はこちら
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0261561426000087?via%3Dihub
 
最新の業績へのリンクはこちら
http://www.pharm.med.kyushu-u.ac.jp/about/achievements/index/yyyy/2025
 
松金 良祐 薬剤師から一言
アナモレリンは本邦で承認されている唯一のがん悪液質治療薬ですが、膵癌に特化した前向きデータはこれまで存在していませんでした。本研究では、実臨床における有効性を示すとともに、「どのような患者さんがより効果を得られるのか」「どのような患者さんで有害事象リスクが高いのか」という臨床的に極めて重要な視点に踏み込みました。今後もがん悪液質治療の最適化と安全な薬物療法の推進に貢献してまいります。

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