松金 良祐薬剤師、中村 尚司薬剤師と呼吸器内科の共同研究の成果がJournal for ImmunoTherapy of Cancer誌にアクセプトされました。
タイトル:Krebs von den Lungen-6 surveillance in immune checkpoint inhibitor-induced pneumonitis
免疫チェックポイント阻害薬治療により生じる有害事象(immune-related adverse events: irAE)の一つである間質性肺炎は、時に生命を脅かす重篤な病態です。早期発見、早期治療介入が重要ですが、これまでに血液検査を用いたバイオマーカーは報告されておらず、そのモニタリングは画像検査に委ねられていました。本研究では、特発性肺線維症や膠原病関連間質性肺炎のバイオマーカーとして知られているKrebs von den Lungen-6(KL-6)が、irAE間質性肺炎発症時にも高確率で上昇することを示しました。また上昇は重症度や自覚症状の有無に問わず認められ、irAE間質性肺炎のモニタリングのための精度良く有用なバイオマーカーである可能性を示しました。
該当論文はこちら
https://jitc.bmj.com/content/12/12/e010114
最新の業績へのリンクはこちら
http://www.pharm.med.kyushu-u.ac.jp/about/achievements/index/yyyy/2024
松金 良祐 薬剤師から一言
本邦では、irAE間質性肺炎のモニタリングのためKL-6の測定が推奨されていますが、これにはエビデンスがなくガイドラインへの記載もありませんでした。本研究はirAE間質性肺炎の発症時にKL-6が有意に、かつ特異的に上昇することを示し、バイオマーカーとしての臨床的有用性を提唱した初めての論文です。引き続き、irAE間質性肺炎の早期発見や重症化回避のためのKL-6の有用性を検証し、安全な免疫チェックポイント治療の推進に努めたいと思います。
